超自然主義生活

微細霊感から超霊媒シャーマンになっていく過程を綴った非日常的日常生活※ノンフィクション

2017.7 オベロンから教わった妖精の話

お盆が近づいて、この世とハザマとあの世の境が曖昧になっていくのに拍車かかってきた頃、まるでハロウィンごっつ大量のグレムリンが押し寄せてきました。あの映画の変身前グレムリンごっつ見た目は可愛らしいのですが、イタズラの度合いがハンパないのよマジで。そこで、グレムリン完全回収のため妖精王に来てもらう事にしました。

ここでちゅと前置き……妖精王は(ヒトじゃないけど『匹』って表現するのもどうかと思うのでとりあえず)二人いて、陰陽・雌雄(確固とした性別はないけど)といった感じで、人間界ではシェイクスピアに名を縛られて以来「ティターニア」「オベロン」と呼ばれています。

 

その日、我が家に来たのはオベロンでした。余談ですが、莢猫には妖精王なこんな風に見えてます……下半身は蹄足で山羊or鹿みたいな尻尾生やしていて、上半身は類人猿系で顔は獣と人間足して2で割ったような感じ。その姿を見るのには何の違和感もないつーか普通(?)なのですが……文章で表現するとバリバリ獣系キメラやね。←ォイ 更に余談ですが、ティターニアはあらゆる植物が人型化(ジュゼッペ・アンチンボルトの絵とは似ても似つかないだよ……念のため釘刺しとく)したような姿に見えます。※あくまで莢猫にはそんな風に見えてるってことであしからず※

 

話、戻そうね。何故か急に大量発生したグレムリンを回収しつつ、グレムリンという妖精ってか半妖精(?)が一体どんな霊体なのか、莢猫な全然知らんかったので……回収浄霊の間、オベロンに妖精講座してもらいました。

現在(ってもここ妖精の話だもんで数百年ほど人間時間軸の差あり)、『グレムリン化』する妖精は主に二種類いるそうで。いやちょっと待って、グレムリン化ってどゆこと?

「そもそもグレムリン自体、本当は妖精でもこの世のモノでも無いんだよ。莢猫の国の言葉で言うならスダマ、ヌエかな」

つまり魑魅魍魎の類ってこと? てことは、放っておくと悪霊化するヤツ?

「近頃は人間界にいるだけで悪霊化しちゃう妖精もたくさんいるんだよ。ってのは、一旦おいといて。最近では、その悪霊化が始まりそうになったヤツをまとめてグレムリンというんだ」

悪霊化する前に清めに来てくなさいよホント……は、さておき、近頃とか最近とかいうのは妖精の時間軸だよね?

「人間の時間軸だと地域でバラつきあるからなぁ。数百年から数千年くらいと思っといて」

やっぱりね……この国ではどうなの?

「莢猫と話せるようになったのついさっきみたいな感じだから、それ以前は妖精伝てしか分からないよ」

ついさっきは昨年って事にしとこう、うん。神さんや妖精の時間軸は人間より長いっと。

「まずグレムリンが生まれるきっかけになった最初の事態が、宗教ね。罪を神に告白すれば許されるってヤツ。あれ全部人間の魂の穢れだから、本当なら神が人間が犯した罪を許す訳ないんだけどね……人間は自分に甘いイキモノだからね。その穢れをうっかり精気と勘違いして喰ってしまった妖精が、グレムリンと呼ばれるようになっていったんだよ」

穢れを精気と勘違いってどゆこと?

「神殿みたいな所(聖域)で人間が口にする言霊は『生きている気』でも清らかなモノと勘違いすることはあるんだよ。意味解る?」

大丈夫、ちゃんと莢猫語化されてまふ。神社の境内で噂話しとる人間の言霊と同じようなもんだね……不敬極まりない穢れ吐き出しとるのに気付け守護霊……は、さておき。聖域に居るから清いモノとは限らんのだけど、お腹空いたアヤカシなその言霊が喰える物に見えなくもないって感じなのね、多分。

「ニュアンスで解ったっぽいね。うんうん。そんな感じ。そして、もう一つが、穢れた動物霊な」

動物霊でも穢れることってあるの?

「あるさ。人間に関わった動物霊のほとんどはグレムリンになる」

うぇっ……ペットとか?

「ペットだけじゃない。動物園、水族館などにいた動物もね。死後すぐにあの世へ行ききれないモノは、ほぼ100%グレムリンになる」

……絶句……。要するに、自然界の生き物でも人間に関わってしまったモノは、ほぼグレムリンになる訳ね。

「人間に関わってもグレムリン化せずに済むのは、魚と虫と植物くらいだよ。生まれてから死ぬまでずっと生命せめぎ合いの中にいるから、魂自体・霊自体が頑丈なんだ。死ねばすぐあの世へ行けるし、新しい魂になるのも早い」

そんなら地上にいる妖精達な、虫と植物に憑いておくのがいっちゃん無難やん。

「そうは言ってもね、莢猫。この頃は大気も土も海も、人間が台無しにしていっているから……そのうち、魂が頑丈な連中もグレムリン化していくかもよ」

妖精王がそんな恐ろしいこと言わんでくなさいよ。できることはこれからもしっかりしていきますけん。

 

オベロンの妖精講座.png

 

ところで、最近のグレムリンって、オベロンの言うとおりなら妖精とも違うような気がするんだけど。

「そうなんだよ。妖精界にも人間の穢れは侵食してきているんだ。だから、莢猫と繋がることができたと言っても過言ではないな。莢猫は人間界に属していたモノだからね」

そりゃまぁ、人間辞めたばっかりとはいえ、器はまんまニンゲンですもんね。

「ミルフィーユ知ってる?」

え、パイ生地とクリームやジャムが重なり合ったケーキだよね、知ってますよ。

「人間界と妖精界ってレイヤーになっているんだよ。完全に繋がってはいないけど、重なっている」

はい? 突然何を言い出すやら……

「基礎のパイ生地にジャムを厚く塗る、基礎のパイ生地は妖精界、ジャムはハザマ、そしてもう一層パイ生地を重ねる、これが人間界。パイ生地がジャムの湿気を吸っていくと、どちらの層にもジャムが染みていくよね」

あー……オベロンが何を言わんとしているのか、解ったよ。ジャムがどちらにも染みている時、妖精達は妖精界と人間界を行き来できるんだね。

「その通り! レイヤーの数は一つじゃなくて、まぁ色々たくさんあるんだけど、話が難しくなるからとりあえずこれだけ理解しておけばいいよ。そして、そのジャム、ハザマは、人間界からも妖精界からもいろんなモノが染み出している霊界でね。そこで生まれたスピリッツは真の妖精とは言えない妖精になる」

えーと……仏教界における天部の皆さん(人非人……神ではなく人でもない存在)みたいな感じなのかな……オーケー何となく分かった事にしとく。

「そこで生まれたモノの中でもよろしくないモノの総称がグレムリンってことに……今では、なってる」

今ではなってるって、取ってつけたよーな物言いだけどまぁいいや、うん。よろしくないモノと言い分けているってことは、イイモノもいるって思っててもいいの?

「え、まぁ、そう思ってていいよ、うん。よし、グレムリンも片付いたことだし、私はもう帰るよ。じゃあ、またね」

あっちょっ、まだ聞きたいことあったのに消えるのハヤッ! 珍しく今まで黙ってオベロンの話を聞いていた銀河曰く。

「やれ……おぬし、この対価は高くつくぞ」

対価って?

「グレムリン掃除に妖精界の仕組み教鞭取らせたことだ」

何でよ、グレムリンお片付けは妖精繋がりやん……って、そう言えばグレムリンって妖精とは言えない妖精って言ってたね。

「そろそろ、妖精界でも名の知れた者になりそうだな、莢猫。『妖精王をアゴでこき使うモノ』と」

……銀河が言うとシャレになりませんがな。対価って何払えばいいの。

「そうだな。おぬしが妖精王から馬車馬のように扱われぬよう、ハザマを見張るとしようか」

何とも心強い守護霊ですわ。ホント……いやいやいや、答えになっとるよーでなっとらんやん。ちゃんと対価払うよ。後々まで残るよーなツケにしたくないから、対価は妖精界の浄霊って事で。←