空海さんが守護霊になって、新たに真言を覚え唱えていくうちに、空海さんから提案されたのが『自分の仏を決める儀式』でした。
産土神とは別で、カンジョウというのだそうです。
うちな産土神は十一面観音で、この家に来てからは鬼子母神さんの弟子になっとるんですが……好奇心に満ちた空海さんの目を見ると、断るに断れにゃい……
「現実世界でやるには、ちとスペースが足らん。夢の中でやろう」
はい、かしこまりました。よろしくお願いします。
ーーてな訳で、カンジョウがどんな儀式なのかも分からないまま、その日の夜ーー連れて行かれたのは、五十畳はあろうかという和室の大広間。どっひゃーと思うも、空海さんに手渡されたのは、タスキ?
着物は着ておりませんが……え、目隠し? 部屋の端の真ん中に立たされ、渡された長い手拭いで目隠しすると、あら不思議。客観的に自分を見ているもう一人の視線になりました。
目隠しをしたうちは、空海さんに和紙でできた五枚の蓮の花びらを渡されました。
「それを一枚ずつ、後ろに放りなさい」
言われるまま、後ろに一枚ずつーー花びらはどこにも落ちず、ふわふわと空へ飛んでいき、あわあわと両手を空にやる空海さん。
「莢猫、花びらは落とすものであって、空に放るのではないのだよ」
と焦る空海さんにうちの返事が、
「だって、誰がどの仏さんなんだか、わかんないんだもん」
自分のセリフに、自分の背後の床に目をやると……そこには曼荼羅が広げてありました!
確かに、真ん中の大日如来以外の仏さんは、どれがどなたかサッパリコンですわ。唖然としていた空海さんも、大笑い。
「ならば漢字で曼荼羅を創り直そう」
「ほにゃ、鬼子母神さんと十一面観音さんも書き足してくなさい」
と、無理なお願いをして、仕切り直し。二度目は、三枚が鬼子母神さんの名の上に落ち、二枚はやっぱり空の彼方へ消えて行きました。
「いやはや、花がすべて空に消えた時は、どうしたものかと思ったわ」
「ところで、空海さん、このカンジョウって何ですか?」
「ははは……調べなさい」
ぐふっ。
ーー後日、心友Sにこの話をしたら、
「夫とお寺に行った時にやったよ! 曼荼羅の上にシキミを落とすの。夫もあたしも大日如来になった」
そりゃ、お坊さんが操s……げふんげふん……良かったねぃ、うん。空海さんも、苦笑い。
ネットサーフィンのち、判ったのは『灌頂』という儀式でした。
うちな仏さんは、やっぱり鬼子母神さん ♪