鳥獣戯画展に行った時、実は空海さん憑いて来られていたそうです。あたしゃ全く、気づかんかったよ……ぐふっ。
我が家まで憑いて来ちゃった明恵さん曰く。
「儂らを見ていく者はそれこそいろんな者がおったがの。そなただけがあまりにも異様な風体で、しかも背後には空海さんが立っているのが見えてな。思わず声をかけてしまったら……ちゃんと返事もするではないか。これは憑いていかねばと思ったのよ」
異様な風体ってーー確かに、そうね。
肩に狐霊(三霊)乗せて、体に竜を巻きつけて、背後に空海さん立ってる人間がいたら、うちかて声かけてみたくなる。
てか、空海さんは御守で繋がっていると思っていたけど……違いますのん?
「確かに、莢猫の家に来た当初は、そのメダルを通じて接しようと思っていた。だが、そなたと鳥獣戯画を見たら、何やら面白いことになりそうだと思うてな。憑いてきてしもうた」
霊体だと、どこでも自由に行き来できるのは何となく知ってはいますが、血縁でもないような者の所にスッと来れるもんなんですか?
「実はな。わしも明恵と同じく……そなたに憑いてきてしまったのよ。狐霊や竜を身に憑け、河童まで連れてーーその日のうちに、立て続けに二度もわしの前に姿を現した者など、今の今まで本当におらんかったでな」
川で遊んだだけかと思ってたら、ちゃんと憑いてきてたのね河童等。笑
……ハッッ!
あのー。それじゃ空海さん、我が家の神さんごっつうちに憑くって事ですか?(恐る恐る)
※後日談ですが、空海さんはこの世に来られる場合は『菩薩行』になるそうで、取り憑くのとはちゅと違うそうです。
「ふむ。明恵も莢猫と共に修行すると良い。これからはわしがそなたの指導霊、守護霊となろう」
空海さんがそう言うなり、今まで私の背後にいた守護霊さん達が一斉に退かれて、何か急にスッカスカになりました!
「空海さん、明恵さん、どうぞ莢猫をよろしくお願いいたします。我等ではもう限界に来ていたところで、助かりました」
何ですと !? どうやら、今までご先祖の霊がかなりの数で支えてくれていたようですが……たくさんの霊がさっさといなくなっていくのを見送るハメに。
ご先祖なのに、いくら何でも薄情すぎやしない?
「この家は霊道交差点でもあるからな。自分より霊格高い妖の類に喰われるかもしれない中、ヒヤヒヤしながらそなたの事を護っていたのだろう」
思わず絶句。
ご先祖さん、肝冷やす思いさせて、ごめんなさい。(汗)
てか、今の今まで、そんなに沢山の御先祖が守護霊してくれていたことに気がつかなくてごめんなさい!
なんでいなくなるまで気づかなかったのだろう……
何はともあれ、空海さんが守護霊なら百万力……かもしれないけど、修行となると厳しいお方だよね?(チラッ)
柔和な笑顔なんだけど、目が怖いよー! って、明恵さんヒトの背中に隠れるのヤーメーテ!
こうして、予想だにもしなかった、まさかの空海さんがーー守護霊になりました。
どうなる莢猫 !?