家に居着くからには、と通称『財テクの神』と呼んでいた、ぬらりひょんっぽい神格級妖ーー彼は何故か、コピー機などコンピューター家電が大好きで、彼の居場所はほぼコピー機の上でした。
伏見稲荷でお稲荷さんに立派な正式名称も頂いて帰ってきたので、何か一つ力試ししてやろうと、彼の勧めに従って宝クジを一枚買いました。
抽選会当日、アマテラスのお力も借りて会場まで出張って行った財テクの神は、見事に撃沈されて帰宅。実力のほどが知れたですよ。(笑)
偉そうに「稼がせてやろう」なんてのたまっていたのは何処のドイツですか、ホント。口ばっかりやったやん。
と、思いっきり責めてやろうと思っていたのですが……彼はその後一週間ほど、泣きどおしでした……
そして、ある朝。リビングに降りていくと財テクの神の気配がありません。
「あれっ? 財テクの神な、どこ行ったと?」
すると、一部始終を見守っていたらしいチベットさん曰く。
「あれは己の不甲斐なさを痛感したそうじゃ。今朝方、お稲荷様に付けて頂いた名を返上して、出て行きおった」
えーっ! あれほどしぶとく家に居座ろうとしていたくせに?
卑屈で高慢な質ではあったけど、数字にはめっぽう強くて、こと算数が苦手な莢猫にとっては、財テクならぬ計算の神として(挿絵の通り)、彼を重宝していたのです。←ぉぃ
ーー出て行くなら、家主に挨拶くらいして行けよ……正式な家主は飼い主様だけど。
とはいえ、うち自身は憑いているモノが増えたため、出て行くモノを思いやる体力的(霊力的、か?)余裕はありません。「去る者は追わず」でいかんと、身が保たん。
ーー後日。河童やその他妖達から、我が家の目と鼻の先にあるパチスロ店で、いつ見ても泣きながら玉やメダルを出しているーーという話を聞きました。
いつも泣きっぱなしになるくらいなら、気持ち入れ替えて戻って来ればいいのに……「去る者は追わず」とは思えど、ですわ……